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2 相続人

(1) 相続人の範囲と順位

(イ)民法の規定

民法は、被相続人と一定の身分関係にある者を相続人とし、その範囲と順位を定めています。
「子及びその代襲相続人」 が第1順位の相続人、「直系尊属」 が第2順位の相続人、「兄弟姉妹及びその代襲相続人」 が第3順位の相続人とされ、これとは別に、被相続人の配偶者は常に相続人となります。
順位の具体的な意味は、相続開始時に第1順位である子がいる場合は、直系尊属や兄弟姉妹は相続人とはなりません。子がいない場合にはじめて第2順位の直系尊属が相続人となります。そして、子および直系尊属がいない場合にはじめて第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。
(a)子
第1順位の相続人は 「子」 です。子が数人いる場合は、同順位で相続します。
子は、血のつながりがある実子と血のつながりがない養子とに大別できます。
1)実子
実子のうち、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子を「嫡出子」、そうでない男女の間に生まれた子を「非嫡出子」といいますが、どちらも相続人となります。
ただし、非嫡出子との父子関係は、認知によって生ずるとされているため、非嫡出子が父の相続人となるためには、父からの認知や子からの認知請求が必要となります。一方、母子関係は分娩の事実によって当然に発生し、非嫡出子であっても認知を要しないため、子は常に母の第1順位の相続人となります (最判昭37.4.27民集16巻7号1247頁)。
継親子関係、すなわち先妻の子と後妻の関係のような場合は、血のつながりがなく実子とはいえないため、後妻の相続人とはなれません。
2)胎児
被相続人の死亡時にはまだ生まれていない胎児についても、相続に関しては既に生まれたものとみなされ、母体から生きて生まれた時点で相続人資格が与えられます。
3)養子
養子は、養子縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得します。
よって、養子は養親の第1順位の相続人になりますが、他方で、実親との関係においても実子であるという親子関係に変更はないので、実親の相続人にもなります。
ただし、特別養子制度に基づく養子縁組は、養子と実親方との親族関係を終了させる制度であるため、特別養子縁組がなされた場合は、養子は実親の相続人とはなれません。
(b)直系尊属
第2順位の相続人は「直系尊属」です。「尊属」とは、自分からみて、父母、祖父母など直系の祖先にあたり、血のつながりがある者です。
直系尊属が相続人となる場合とは、第1順位の子やその代襲相続人が存在しない場合です。第1順位の相続人が存在しても、相続欠格や廃除、相続放棄により相続権を有しない場合には、直系尊属が相続人となります。
直系尊属の中では親等の近い者が優先し、例えば、父母のいずれかが存在する場合は、祖父母は相続人となりません。
実親、養親の区別はなく、親等が同じとなる直系尊属が数人存在する場合は、共同相続人となります。
親等が異なる直系尊属の中から親等の近い者が相続の放棄をした場合、次に近い者が相続人となります。
(c)兄弟姉妹
第3順位の相続人は「兄弟姉妹」です。
兄弟姉妹が相続人となる場合とは、第1順位、第2順位の相続人がいずれも存在しない場合、もしくは存在しても、それらの者が全て相続欠格、廃除となったり、相続放棄をした場合です。
兄弟姉妹の中には、父母の双方が同じである兄弟姉妹 (全血) と父母の一方のみが同じである兄弟姉妹 (半血) とがあります。
法定相続分に関しては、半血兄弟姉妹の法定相続分は全血兄弟姉妹の2分の1とされていますが、いずれも相続人たる資格を有します。
(d)配偶者
配偶者は、第1・第2・第3順位の相続人と並んで常に相続人となります。
配偶者とは、婚姻届出を行った配偶者をいい、内縁関係にとどまる場合には相続人とはなりません。

(ロ)相続資格の重複

相続人と被相続人との間に二重の親族関係が存在する場合に、相続資格の重複の問題が発生します。
(a)同順位相続資格の重複
実子と養子が婚姻した場合と孫を養子にした場合があります。
戸籍先例では、実子と養子が婚姻した場合については、配偶者としての相続分のみを認めて、兄弟姉妹としての相続分の重複を認めていません。
一方、孫を養子にした場合については、相続資格の重複を認め、養子としての相続分と代襲相続人としての相続分を有するとしています。
(b)異順位相続資格の重複
兄が弟を養子とする場合が考えられます。
兄が死亡した場合、弟は子としての相続資格と兄弟姉妹としての相続資格の重複が生じるようにも考えられます。
しかし、弟は第一順位の子としての相続資格が認められるだけであり、第三順位の兄弟姉妹としての相続資格は第一順位の相続人の存在によって認められないことになります。