5 相続の承認、相続の放棄
(2) 単純承認
(イ)単純承認とは
単純承認とは、相続人が被相続人の権利義務を無限定に承継することをいいます。
単純承認がなされると、相続財産と相続人の固有財産とが同一化し、被相続人の債権者は相続人の固有財産に対し強制執行ができますし、相続人の債権者は相続財産に対し強制執行ができることになります。
限定承認や放棄については、その方式が明文で規定されていますが、単純承認について規定がされていないため、何らかの形で、相続人による単純承認の意思を表示すれば足りると考えられています。
単純承認がなされると、相続財産と相続人の固有財産とが同一化し、被相続人の債権者は相続人の固有財産に対し強制執行ができますし、相続人の債権者は相続財産に対し強制執行ができることになります。
限定承認や放棄については、その方式が明文で規定されていますが、単純承認について規定がされていないため、何らかの形で、相続人による単純承認の意思を表示すれば足りると考えられています。
(ロ)法定単純承認
民法は一定の事由がある場合には、当然に単純承認の効果が発生するものと定めており、これを法定単純承認といいます。
単純承認とみなされる場合には、相続人が、相続財産の全部または一部を処分した場合、三か月の熟慮期間を徒過した場合、相続財産の隠匿・消費などの背信行為をした場合があります。
単純承認とみなされる場合には、相続人が、相続財産の全部または一部を処分した場合、三か月の熟慮期間を徒過した場合、相続財産の隠匿・消費などの背信行為をした場合があります。
(a)相続財産の処分
相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます。単なる管理行為及び保存行為は処分に含まれません。
処分とは、財産の現状、性質を変える行為をいいますが、それには贈与や売却などの法律行為だけでなく、故意に壊したりするような事実行為も含みます。
なお、形式的に処分にあたる場合でも、財産の経済的価値を考慮して、慣習上のわずかな形見分けや、葬儀費用の支出などは処分にはあたらないと考えられています。
処分の時期については、限定承認、放棄の前になされた処分のみが該当します (大判昭5.4.28)。
処分行為に無効又は取消原因がある場合でも、単純承認の効果は発生すると考えられています (大判昭6.8.4民集10巻652頁)。
単純承認とみなされる相続財産の処分というためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、または少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらもあえてその処分をしたことを要するものとされています (最判昭42.4.27家月19巻7号56頁)。
処分とは、財産の現状、性質を変える行為をいいますが、それには贈与や売却などの法律行為だけでなく、故意に壊したりするような事実行為も含みます。
なお、形式的に処分にあたる場合でも、財産の経済的価値を考慮して、慣習上のわずかな形見分けや、葬儀費用の支出などは処分にはあたらないと考えられています。
処分の時期については、限定承認、放棄の前になされた処分のみが該当します (大判昭5.4.28)。
処分行為に無効又は取消原因がある場合でも、単純承認の効果は発生すると考えられています (大判昭6.8.4民集10巻652頁)。
単純承認とみなされる相続財産の処分というためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、または少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらもあえてその処分をしたことを要するものとされています (最判昭42.4.27家月19巻7号56頁)。
(b)熟慮期間の徒過
相続人が3ヶ月の熟慮期間内に限定承認又は放棄をしなかったときには、単純承認したものとみなされます。
相続人には限定承認・放棄の選択権がありますが、何もしないでおくと単純承認となるのです。
熟慮期間の起算点は各相続人によって異なる場合があり、熟慮期間が伸長された場合には、伸長された期間の満了時が基準となります。
相続人には限定承認・放棄の選択権がありますが、何もしないでおくと単純承認となるのです。
熟慮期間の起算点は各相続人によって異なる場合があり、熟慮期間が伸長された場合には、伸長された期間の満了時が基準となります。
(c)限定承認や放棄後の背信的行為
相続人が限定承認又は放棄をした後でも、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私に消費し、又は悪意でこれを財産目録に記載しなかったときは、単純承認をしたものとみなされます。
隠匿とは、相続財産の存在が容易にわからないようにすることで、私に消費するとは、相続債権者の不利益になることを認識して相続財産を消費ないし処分してしまうことです。
秘密に行うか、公然と行うかは問いませんが、消費につき正当な理由があれば、私に消費したことになりません。
悪意の財産目録の不記載とは、相続債権者をだまそうという財産隠匿の意思をもって財産目録に記載をしないことです。借金などの消極財産の不記載もこれにあたります (最判昭61.3.2)。
隠匿とは、相続財産の存在が容易にわからないようにすることで、私に消費するとは、相続債権者の不利益になることを認識して相続財産を消費ないし処分してしまうことです。
秘密に行うか、公然と行うかは問いませんが、消費につき正当な理由があれば、私に消費したことになりません。
悪意の財産目録の不記載とは、相続債権者をだまそうという財産隠匿の意思をもって財産目録に記載をしないことです。借金などの消極財産の不記載もこれにあたります (最判昭61.3.2)。