5 相続の承認、相続の放棄
(3) 限定承認
(イ)限定承認とは
限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の残した債務や遺贈について責任を負うという条件付きで相続を承認するというものです。
相続財産のうち消極財産が積極財産を上回っている場合には、相続の放棄をすればよいのですが、消極財産と積極財産のいずれが多いかが不明の場合には、限定承認をする意味があります。
相続財産のうち消極財産が積極財産を上回っている場合には、相続の放棄をすればよいのですが、消極財産と積極財産のいずれが多いかが不明の場合には、限定承認をする意味があります。
(ロ)方式
(a)家庭裁判所への申述
相続人が限定承認をしようとするときは、3か月の熟慮期間中に財産目録を調製して家庭裁判所に提出し、限定承認する旨の申出をしなければなりません。
財産の範囲を明確にするため財産目録の調製、提出が必要とされていますが、財産の価額までは記載する必要はありません。
被相続人に資産がないことが明白な場合でも、限定承認をすることはできますが、その場合には相続財産がない旨、財産目録に記載し、被相続人に消極財産だけがある場合には、その旨を財産目録に記載すれば足ります。
また、相続人の調査にも関わらず、積極財産・消極財産ともにその内容を明らかにできなかった場合には、限定承認申述書にその旨を記載すれば足ります (大阪家審昭44.2.26家月21巻8号122頁)。
財産の範囲を明確にするため財産目録の調製、提出が必要とされていますが、財産の価額までは記載する必要はありません。
被相続人に資産がないことが明白な場合でも、限定承認をすることはできますが、その場合には相続財産がない旨、財産目録に記載し、被相続人に消極財産だけがある場合には、その旨を財産目録に記載すれば足ります。
また、相続人の調査にも関わらず、積極財産・消極財産ともにその内容を明らかにできなかった場合には、限定承認申述書にその旨を記載すれば足ります (大阪家審昭44.2.26家月21巻8号122頁)。
(b)審判
限定承認は家庭裁判所が審判によって成立します。
審判では、相続資格等の形式的要件の具備の有無や、申述が熟慮期間内になされたものであるか、限定承認の申述が申述人の真意によるものであることか等の確認もなされます。
受理の審判は限定承認の要件の具備を前提に、一応その旨を公証するもので、既判力はありません。要件を具備しない不適法な申述であった場合、たとえ受理の審判がなされていても、最終的には民事訴訟によって確定されることになります。
なお、限定承認の受理をする審判に対しては、不服申立てはできません。
審判では、相続資格等の形式的要件の具備の有無や、申述が熟慮期間内になされたものであるか、限定承認の申述が申述人の真意によるものであることか等の確認もなされます。
受理の審判は限定承認の要件の具備を前提に、一応その旨を公証するもので、既判力はありません。要件を具備しない不適法な申述であった場合、たとえ受理の審判がなされていても、最終的には民事訴訟によって確定されることになります。
なお、限定承認の受理をする審判に対しては、不服申立てはできません。
(c)共同相続の場合の限定承認
相続人が数人いる場合は、限定承認は、相続人全員が共同しければできません。
各相続人の熟慮期間は別々に進行するため、相続人の一人について熟慮期間が経過した場合には、その者は単純承認したものとみなされ、他の相続人が限定承認ができなくなるのではないか問題になります。
この点については、一部の相続人について法定単純承認事由が発生しても、他の相続人は、その熟慮期間内であれば、なお相続人全員で限定承認ができると考えられており、そのような裁判例もあります (東京地判昭30.5.6下民集6巻5号928頁)。
相続放棄をした者がいる場合には、その者は初めから相続人とならなかったものとみなされますので、その者以外の他の相続人全員が共同して限定承認を行うことができます。
各相続人の熟慮期間は別々に進行するため、相続人の一人について熟慮期間が経過した場合には、その者は単純承認したものとみなされ、他の相続人が限定承認ができなくなるのではないか問題になります。
この点については、一部の相続人について法定単純承認事由が発生しても、他の相続人は、その熟慮期間内であれば、なお相続人全員で限定承認ができると考えられており、そのような裁判例もあります (東京地判昭30.5.6下民集6巻5号928頁)。
相続放棄をした者がいる場合には、その者は初めから相続人とならなかったものとみなされますので、その者以外の他の相続人全員が共同して限定承認を行うことができます。
(ハ)効果
(a)責任の範囲
限定承認をした相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の残した債務及び遺贈を弁済する責任を負います。すなわち、相続債権者が限定承認をした相続人の固有財産に対し強制執行をしてきた場合は、相続人はその強制執行の排除を求めることができます。
相続によって得た財産とは、相続の開始当時、被相続人に属していた財産のうち、被相続人の一身に専属しているものを除外する一切の積極財産をいいます。
たとえば、相続開始前に被相続人から不動産を譲りうけた者、また、抵当権設定者などで相続開始前に登記を具備していなかった者は、相続債権者に対してその権利取得を対抗できませんので、その不動産はいずれも相続財産に含まれます。
相続によって得た財産とは、相続の開始当時、被相続人に属していた財産のうち、被相続人の一身に専属しているものを除外する一切の積極財産をいいます。
たとえば、相続開始前に被相続人から不動産を譲りうけた者、また、抵当権設定者などで相続開始前に登記を具備していなかった者は、相続債権者に対してその権利取得を対抗できませんので、その不動産はいずれも相続財産に含まれます。
(b)相続財産の管理
限定承認をした相続人は、その固有財産におけると同一の注意義務をもって相続財産の管理を継続しなければなりません。
相続人が数人ある場合には、家庭裁判所が相続人の中から、相続財産管理人を選任しなければならないとされています。責任の所在を明確にし、事務の進行を簡易にするためです。
この管理人は、相続人のために、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の権限を有します。
相続人が数人ある場合には、家庭裁判所が相続人の中から、相続財産管理人を選任しなければならないとされています。責任の所在を明確にし、事務の進行を簡易にするためです。
この管理人は、相続人のために、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の権限を有します。
(c)相続財産の清算
1)催告、公告
限定承認がなされると、相続財産をもって相続債権者と受遺者に弁済するため、一種の清算手続が行われます。
限定承認者は、一切の相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告します。ただし、限定承認者に判明している債権者に対しては、各別にその申出を催告することが必要です。
公告や催告には債権者が期間内に申出を行わないときは、その債権者は清算手続から除外されるべき旨が記載されます。
限定承認者は、一切の相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告します。ただし、限定承認者に判明している債権者に対しては、各別にその申出を催告することが必要です。
公告や催告には債権者が期間内に申出を行わないときは、その債権者は清算手続から除外されるべき旨が記載されます。
2)清算
債権申出期間が満了した後、相続財産の中から、債権者に対し、債権額の割合に応じて弁済が行われます。受遺者に対する弁済は、相続債権者に弁済した後に行います。
限定承認をした相続人は、公告期間の満了前には、弁済を拒絶する権利が認められています。相続債権者がその債権について、確定判決等を得ていても、限定承認者はその執行を拒絶することができますし、相続債権者としては新たに執行手続を開始できないことになります。
一方で、限定承認といえども優先権を有する債権者の権利を害することはできないとされています。したがって、留置権、先取特権、質権、抵当権等を有する債権者は、債権申出期間内であっても、その権利を行使し、弁済を受けることができます。
限定承認をした相続人は、公告期間の満了前には、弁済を拒絶する権利が認められています。相続債権者がその債権について、確定判決等を得ていても、限定承認者はその執行を拒絶することができますし、相続債権者としては新たに執行手続を開始できないことになります。
一方で、限定承認といえども優先権を有する債権者の権利を害することはできないとされています。したがって、留置権、先取特権、質権、抵当権等を有する債権者は、債権申出期間内であっても、その権利を行使し、弁済を受けることができます。
3)競売
弁済に際して相続財産を換価する必要があるときは、公平を期するため競売によるのが原則です。相続債権者や受遺者も。自己の費用で相続財産の競売又は鑑定に参加し、意見を述べることができます。
ただし、限定承認をした相続人が競売の方法によらないで弁済を行なうことを希望する場合は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い、相続財産の全部又は一部の価額を金銭で弁済して競売を差し止め、そのかわりに相続財産の全部又は一部を引き取ることができます。
ただし、限定承認をした相続人が競売の方法によらないで弁済を行なうことを希望する場合は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い、相続財産の全部又は一部の価額を金銭で弁済して競売を差し止め、そのかわりに相続財産の全部又は一部を引き取ることができます。